「じゃあ、キス。それならいいだろ?」
沙羅 「ああ、それなら」
「……なんでそんな自慢気なんだよ……」
沙羅 「たかがキスだぞ? 挨拶でもするし……、大したことはない」
「ほう……」

……なんか、喧嘩売られてる。
これは恋人同士のキスはそんな甘っちょろいもんじゃないんだぜっていうのを、わからせてやらんといけないな……!
…………
いや、俺も初めてですけど。

「じゃあ、今からその、「たかがキス」とやら、するから」
沙羅 「……ああ」
「蹴ったり暴力をふるったりそういうことは禁止です」
沙羅 「だ、大丈夫だ。たかがキスだからな。
 そ、その代わり……、キス以外のことをしたらびっくりするからな」

……びっくりするらしい。……気をつけよう。

「えっと……、行くよ……」
沙羅 「ん……」

最初は優しく。唇と唇を合わせて、ただ静かに、重ね続けていた。

沙羅 「……ん」

沙羅が唇を離して、微笑んで見せる。
……なんか勝利宣言って感じで、癪なんですが。

「もう一回」
沙羅 「ふあ……、ん……、ちゅ……、……ちゅ……」

今度は優しく、小さなキスをし続ける。

沙羅 「ちゅ……、ちゅ……、ふぅ……。これなら……」

沙羅も俺の動きに応えるように、唇や頬に自分からキスをしてくれる。

沙羅 「はあ……」

キスの合間に、小さく息を吐いた。どこか甘さが混じっていて、扇情的だった。