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大声で叫ぶと、しんと静まった教会に自分の声が反響する。
辺りを見渡すと、近くに小さな扉があった。そこが……、少しだけ開いているようだった。
俺は、そのドアノブへと手を伸ばした。
双子は小さな扉の向こうの部屋に居た。
二人でしゃがみ込んで、祈りをささげていた。
声が、出せなかった。美しい、左右対称な二つの影。祈りを捧げる二人の少女。
息すらも、出来ない。それは美しすぎるからとか、そう言う理由だけではなくて……
酷い、異臭がした。
その部屋は、あまりにも残酷に、非対称に、紅く染まっているから。
奥歯が震えた。悲しみにも怒りにも似た、不思議な感情が湧きあがってくる。
二人の名前をちゃんと呼んだ。二人は瞳だけをこちらに向ける。
息を吸い、二人の声をちゃんと聞くと、やっと目の前の惨劇が現実のものになる。
鼻で呼吸をしないようにしても、その臭いは強烈で、拒めない。
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