真希奈 「なんでよぉ……、なんで、なんで、なんで……!!
 どうして櫂はわかってくれないの? わたしの、味方なんじゃなかったの?」
「言ってるじゃないか、何度も……。俺は真希奈の味方だって……」

苛立ちを感じている自分に気づいていた。
どうして、こんなことになるのだろうか。俺は、ちゃんとやっているのに……
真希奈は、わかってくれない。真希奈は、俺と一緒に幸せになることを望んでくれない。
どうして……

真希奈 「櫂は……、わたしのことなんか何にも考えてない!
 櫂は、わたしに自分の考えを押し付けたいだけじゃない!」
「外には出られないんだ。そうするしかないだろう!?」
真希奈 「そんなことない! なんで出られないって決めつけるの!?
 櫂が出たくないだけでしょう!? ここの子は、みんなそう!
 自分が、ここから出たくないだけなのに……
 楽園なんかじゃない! この場所は、牢獄だ!!
 それを……、わたしに押し付けないで!
 わたしは……、自由だ!
 もう誰にも、縛られたりしない!」

わかっていた。
わかって、きていた。
理解、してしまっていた。
それは同情から始まったものかもしれない。愛とすら、言えなかったかもしれない。
それでも、願ってしまったから。
真希奈と一緒に生きることを。だから……

なのに……
どうして、わかってくれないんだろう。

「真希奈、わかってくれ。
 このまま背負い続ければ、真希奈は……」
真希奈 「うるさい!
 わたしは機械なんかじゃない! だから、自分で考えて自分で決める!」

それが、最後だった。
分かり合えないことを、理解した。

「それが……、真希奈の願いなら……
 決めればいい。自分で……、好きなように……」