透子が学園に来なくなってから数日が過ぎた。
 噂話は収まってはきたけれど、俺や青葉梟さんに対する異質な視線は続いていた。
 先生たちや学園側からの発表も何もない。
 このまま、関係ない振りをし続けるのだろうか。

 もしも、透子が本当に人を殺していたとしたら……?

 「……え……」

 見覚えのある、その、容姿。
 見間違うわけ、ない。

 「透子……、透子!!」

 側には警察なのか、黒いスーツを着た男性が立っている。
 透子が、俺に気付いて顔を上げる。

 「あら、陽太。久しぶりね。」

 「透子……! 良かった。ずっと心配してたんだ……」

 「ふふ、心配させてごめんなさい。」

 安堵の息が漏れる。やっぱり、透子は事件に関係なかったんだ。

 「やっぱり、透子が関係してるわけ……」

 「殺したわよ?」

 「え……?」

 「殺したわよ? だけど、証拠不十分で釈放されたの。ラッキーだわ。」

 「ラッキーって……。まあ、戻ってこれたなら……」

 透子の真意はわからないけど、釈放されているなら事件に関係ないということだろう。
 とにかく、これで心配事は一つなくなった。

 「ただ、ちょっとね――」

 「透子はそう言って、後ろにある洋館を見る。」