「お弁当! ありがとう。温めてきてくれた?」
 
 「ここ、電子レンジもないのよ。伝え忘れちゃって。」
 
 「…………」
 
 「陽太?」
 
 声が、出ない。
 
 「どうかした? ああ、いいのよ、私は冷たいお弁当でも。」
 
 「お弁当って冷めてもおいしくできているわよね。
  あの冷ご飯が癖になるというか……」
 
 「そ、そうじゃ、なくて。」
 
 「服!!」
 
 「服を!! 着ろ!!!」
 
 「服? 何を言ってるの? 着てるわ。」
 
 着てる。着てる、けど。
 
 Tシャツ一枚。
 
 白いTシャツからは少しだけ肌色が透けて。
 胸の形が、しっかりと、見えている。
 
 「着てるけど、もっと、ちゃんと……!! ちゃんと、した、服……!」
 
 目のやり場に困る!!
 
 「いい? 今日から、二人で、限られたお金で生活していくのよ。」
 
 「洗濯物だって、なるべく少ないほうがいいでしょう?」
 
 「それは、そうかもしれないけど……!」
 
 「部屋着くらい、Tシャツ一枚でいいと思うわ。」
 
 「いや!! よくない! よくない!!」
 
 「自分一人だったらいいけど、ここには俺もいるんだから……、
  妙齢の乙女がそんな格好……」
 
 Tシャツは少し大きいけど、本当にお尻を隠すくらいの長さで。
 柔らかそうな太ももが、隠れもせずに、丸出しになっている。
 
 「チラッ。」
 
 「なにやってんだ!!!!」
 
 「ちなみにノーパンノーブラよ。本当にTシャツ一枚よ。」
 
 「そんな宣言! いらん!!」
 
 「頼むから、もっと恥じらいを持ってくれ……」