「それにしても、こんなに素敵なお屋敷で暮らせるなんて夢のようです〜!
  お風呂もすごく綺麗でしたっ! どのお部屋もすごく広くて!!」

 みおんちゃんは楽しそうにくるくると回って見せる。

 「みおん、透子お嬢様の住み込みの召し使いになります〜♪」

 「はは、無理しないでね。じゃあ、俺はそろそろ……」

 「みゃっ!」

 「みゃっ!?」

 みおんちゃんがバランスを崩して――
 俺は途端に支えようとするものの、時、既に、遅く……

 「い、いてて……」

 「み……すみませんっ、みおん、はしゃぎすぎました……」

 「き、気を付け……て……」

 な、なんというか……いろんな、感触や、重みを、感じつつ……
 俺、一体、どうなって……

 「…………」

 「陽太さん、怪我、ないですかっ? みおん、潰しちゃいましたっ!」

 「い、いいんだけど! それは、いいんだけど!!!!」

 みおんちゃんの身体が。俺の上に乗っている。
 そして、その……凶悪な、おっぱいが……

 …………。

 あああああ! だめだ! だめだ!! 意識したら!! 死ぬ!!
 社会的に!!! 死ぬ!!!!

 「すみません〜」

 「謝罪は、いいんだけどっ!
  立てる? できたら、いま、すぐ、立ってほしい」

 俺が勃つ前に。ほんと、無理。はやく。はやく。

 「す、すみません、それは、わかっているのですが……」

 「……あ、足……つっちゃって……も、もうちょっと待ってください……」

 「ひー!!」

 待てない!
 助けて!!!

 「俺が起きたら大丈夫!?」

 「だ、だめですっ。動かさないでください〜っ、痛いです〜!」

 俺も痛い。心が。
 あんなに事故がないようにと思ってたのに。初日にやらかした。

 「少しずつ落ち着いて来たので、ちょっと待ってください……」

 もぞもぞとみおんちゃんが動くと、その柔らかいおっぱいも形を
 変えて……

 柔らかい感触が伝わって来て……

 ……いや無理! ほんと無理!!!
 やばい、こんなの、意識しないの無理!! 男だぞ!!!

 「透子様に起こしてもらったほうが……」

 「い、いや、それは待って!! 透子にばれるわけにいかない!!」

 「ばれる?」

 「何を騒いでいるの?」

 「あっ、透子様!」

 「透子……!!」

 「みおん、転んじゃったのです〜。助けてください……!」

 「…………」

 「い、いや、これは……」

 「……陽太……?」

 「ち、違うんだ! 違うんだよ! いろんな! 理由が! 様々!」

 「様々って何……?」

 「透子様〜、起こしてください〜!」

 「助けてほしい。そしてあんまり俺を見ないでほしい」