夜はスマホを取り出し、寝転んだままでスマホを弄り始める。

  「あ、あの……夜……?」

  「おかまいなく!」

  「意味がわからないよ!」

  スマホにはゲームの画面が映っている。
  そうだ。こいつ、ソシャゲ廃人だ。

  「付き合ってから、ちょっと我慢してたんだけど……」

  「うん、そうだね、我慢してくれてたね……」

  「でも、どうしても今のうちにやっておきたく……!!
   陽太くんの膝の上だったら一石二鳥〜」

  「使い方間違ってない!?」

  このゲームする時間を他のことに当てれば……と思うけど……

  「まあ……いいか、趣味なんだし……」

  「理解してもらえて嬉しい……!」

   忙しい夜の唯一の趣味まで奪うのは忍びない。

  「本当は陽太くんと一緒にできたらいいのになー」

  「俺は遠慮しておくよ」

  絶対、夜と同じようには遊べないし、途中で飽きてしまう自信がある。

  「陽太くんもスマホ弄ったり本読んだりしてていいからね!」

  「俺は夜のこと見てる」

  俺はそっと、夜の髪を撫でてやる。

  「くすぐったい……幸せ……」

  「なるべく早く終わらせるから、そうしてて欲しいな……」

  夜のさらさらの髪に触れているだけで、すごく幸せな気分になる。

  こうやって過ごす時間もすごく幸せだ。