「はあ……。
    まあまあ、楽しかったかな。

    夕方までしっかり遊んで、帰りの電車に乗り込む。

   「もうちょっと計画性あるといいと思うよー。
    好きな子誘うときは気を付けなよねー」

   「う、うん。それはごめん……」

   「あは。でも、透子だったらなんでも許してくれそうか。
    どっちかというと自分で全部計画作ってくれそう」

   「まあ、透子と出掛けたらそうだろうけど……」

   「……あれ。陽太くんが好きなのって、透子じゃなかった?」

   「え?  いや、透子は……大事ではあるけど」

   「そうじゃなくて、恋?」

   「……それは、あんまり考えたことないかもしれない」

    透子のことは大事だ。恩人だと思ってる。
    綺麗と言われたら確かに。
    綺麗だし、これからもどんどん美しくなると思う。

   「透子、あんなに陽太くんのこと思ってるのに、好きじゃないんだ?」

   「綺麗だし、透子とは付き合い長いし、いい子なのはわかってるよ。
    でも、恋愛感情とは違う。今のところは」

    これからのことはどうなのかわからない……けど。
    でも俺は透子に対して『恩人』って気持ちが消えなくて、
    付き合ってもうまくいかないと思う。

   「じゃあ、みおんちゃんは?  夜は?」

   「いい子だと思うよ」

   「遠回しな言い方ー」

   「だって、本当のことだし」

    二人ともいい子だと思う。
    だけど、それ以上のことなんて、考えたことない。

   「もったいないなー」

   「もったいないってなに……」

   「陽太くんは可愛い子選り取り見取りなのに。ハーレム。主人公」

   「……わかんないけどさ、そういうんじゃないんじゃないのかな。
    好きになるって。
    近くに女の子がいるから……じゃなくて。
    多分だけど、もっとドキドキするっていうか、気持ちが
    止められないというか……」

   「……ふぅん。意外と乙女ちっくなこと言うんだねー。
    ……私には、わかんないな」

   「俺も、想像でしかないけど……」